さいしょの主治医にもらった言葉
こんにちは。発達障害当事者のなもなです。
はやいもので、私がはじめて発達障害の専門医の診察をうけてから、もう十年以上が経ちます。
今回は、診断をうけてすぐ私の主治医になった人がくれた言葉について思いをめぐらせてみます。
おつきあいいただけると、なもな、とってもうれしいです!
成人発達障害当事者の担当医になったのは小児科医だった
十数年前、不注意や学習障害になやんでいた私は精神科を受診し、しばらくは成人外来にかよっていました。
その後、検査を経て発達障害と診断され、専門医のいる小児科へ紹介状を書いてもらいました。
(当時は近隣に成人の発達障害をみてくれる医療機関はありませんでした)
最初に私の主治医となったのは、M医師という初老のおじさんでした。
いま振り返ると、M医師にもADHDっぽいところがありました。
受診日でも待合室でながながと待たされましたが、いざ診察がはじまると、だんだんM医師の話は熱をおび、30分以上ひざを突き合わせる。それが日常でした。
また、M医師は愛をもって真摯に患者とむきあうひとでしたが、その情熱ゆえ言葉づかいが時々過激になり、誤解されることがありました。
当時、発達障害当事者むけの平易な本をいちはやく出版しましたが、そのレビューが賛否両論でした。
それは今でいう炎上状態でした。
相対すればM医師の真意はかなり伝わってくるのですが、活字越しではむずかしかったようです。
「発達障害の人はね、居直りゃいいんですよ」
そんなさいしょの主治医に私がよく言われていた言葉があります。
「発達障害の人はね、居直りゃいいんですよ」
私はその意図が長い間わかりませんでした。
辞書で「居直る」をひくと
いなおる【居直る】 ( 動ラ五[四] )
① 急に態度を荒々しいものに変える。 「押し売りが-・る」
② 逃れられない立場を悟り、強い態度に変わって相手に向かう。 「 - ・ってふてぶてしくなる」
③ 座り直して姿勢を正す。 「宗清-・り畏つて申けるは/平家 10」
うーん……
全体的に攻撃的な意味合いなのがしっくりきません。
私が当時考えた意図(1)
発達障害だけど、それを気にせず定型発達としてふるまうってこと?
(せっかく診断がついたのに……
生きづらさを表現することができるようになると思ったのに
診断がなかったことにはできないよ!)
私が当時考えた意図(2)
それとも、まわりの人に自分のできないことを受けいれさせるの?
(それって傲慢というのでは
これではますますきらわれてしまうから、できないよ!)
当時の私は、M医師のマシンガントークに割り入って「居直る」の意図を問い直すことはできませんでした。
しかし、M 医師は当事者の味方だということと、前向きなニュアンスを伝えようとしていたことは理解していました。
その後、私の主治医は若手医師にかわったため、この問いは長い長い宿題となっていました。
私なりの「居直る」の意味
そして時は流れ、今年、私は発達障害について発信をはじめました。
そこで出会った「発信する当事者」の先輩方をみて、あるとき私のこころに「居直る」のイメージがふっと浮かびました。
これが、わたしなりの「居直ること」の答えです。
発達障害を理由に、何かをあきらめない
自分の一部である発達障害を否定しない。
その特性によって苦手なことがあることも否定しない。
一方で、自分自身にやりたいことがあることも否定しない。
「やりたいこと」を「発達障害(もしくは苦手/下手)」という理由で否定しない。
そして、自分があきらめるのをまわりのせいにしない。
M医師の真意はわかりませんが、私としてはこの答えですごくスッキリしました。
ここまでたどり着けたのも、クールに居直っている発達障害当事者のみなさんのおかげです。
あんたら、すごいよ!
気づかせてくれて、ほんとうにありがとうございます。
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
さいごまでおつきあいいただき、なもなはとってもとってもうれしいです!
記事をよんだ今、あなたはどんな気分ですか?
もっと吸収したいあなたは、こちらの記事をあわせてお読みください。
こちらの本は、M医師にメモ書きしてもらった、当時では数少ない発達障害当事者の自伝のひとつ。
手さぐりだった日々の思い出のしるしです。
クリックして詳細をごらんください。
それとも あなたも語りたくなった?どうぞいってらっしゃい。
またお会いしましょうね▼▼▼