発達障害を理解してくれる歯医者さんと出会ったお話
こんにちは。発達障害当事者の なもな です。
先回の記事では、歯医者さんに知ってほしい発達障害の特性について書きました。
発達障害当事者が歯医者さんに伝えたいこと - こころのアルゴリズム、私にもください
今回は、予告した通り、それらの困り事を実際に歯医者さんに伝えた体験談をお送りします。
あなたも一緒に苦手感をなくしませんか?
お急ぎのかたは「受診のポイント」だけお読みください。
おつきあいいただけると、なもな、とってもうれしいです!
「日本障害者歯科学会認定医」とは
歯の治療はできるだけしたくない。
それなら虫歯がない今のうちに安心して予防や検診ができるかかりつけの歯科医院をつくろう。
そう思って私は「自閉症 歯科」というキーワードで検索してみました。
すると「日本障害者歯科学会」というウェブサイトが見つかりました。
概要はこちらです。
どのような人たちを診るのですか?
(一部抜粋)
身体の不自由や緊張から、治療を受ける姿勢が困難な人。
ムセや口に治療器具などが入ると嘔吐(吐きそうになったり)して
しまったり、歯科診療に極度の恐怖感をいだき、受診できない人。
ご自身での歯みがきやお口の中を清潔に保つことが困難な人
出典: 日本障害者歯科学会:一般の方へ
どのような配慮をしてくれるのですか?
(一部抜粋)
患者さん、それぞれの障害を理解し、保護者や介護者の方たちと 十分な相互理解のもとに診療を行います。
治療中の姿勢を保つためにクッションなどを利用したり、
安全のために、身体が不意に動き出さないようなコントロールを
行ったりします。
点滴注射と安定剤などを利用して、ウトウトしたリラックスした
状態で治療を行います。
出典: 日本障害者歯科学会:一般の方へ
このサイトには、歯科受診における私の困りごとがほぼすべて挙げられていました。
自分だけの悩みだと思っていたことが、診療現場に伝わっている。
しかも、その対策も考えてあるんだ。
私はうれしくなって早速 自宅近くの歯科医院を探してみました。
そして、少し遠くだけれど最新の治療が受けられそうな、とある歯科医院への受診を決意しました。
障害への対応体制のある歯科医院のみつけかた
▲こちらに主要な歯科医院や病院内歯科が載っているはずですが、私の環境ではうまく見つけられない時がありました。
そのため、検索エンジンで改めて
「(都道府県名もしくは市町村名)+障害者+歯科」
で検索し、各地域の歯科医師会の当該ページから探すことをおすすめします。
障害に対応してくれる歯科医院の名称は、「認定医」のほか、地域によって様々なものがあります。
歯科医院での発達障害カムアウトの体験談
予約の電話で伝える
私が発達障害当事者であることは、新患の予約の電話をした際に伝えました。
受け入れてもらえるか不安で、電話をかけるのに数日を要しました。
しかしそれは杞憂でした。
電話口でまず新患である旨を伝え、日時の調整をしたあと、
「 私、発達障害でして、治療中に呼吸がうまくできないことがあるんです」
と告げると、受付の方はごく自然に聞き入れてくださいました。
それから私の念頭になかった医院の場所と交通手段についての説明もいただき、さらなる安心感につながりました。
当日の受付
問診票に「服用している薬」の欄があったので、コンサータなどの名称を書きました。
受付の方におくすり手帳のコピーをとり、カルテに添付することを求められたので、承諾しました。
診察スペース
パーテーションで区切られた半個室で、患者は壁の方を向いて座ります。
密室を怖がる人がいるため、完全個室にはしなかったそうです。
私個人としては、他の診察スペースの音が聞こえてくるのが少し気になりました。
歯科医師による問診
担当になったT歯科医師は、大学病院であらゆる障害を持つ人の治療にあたっていたと私に話してくれました。
障害を持つ人のニーズを知りたいという熱意を感じたので、私も遠慮せず率直に相談しようと思いました。
きかれたこと
・発達障害の診断名
・通院歴
・感覚過敏の種類や度合い(痛み/温度/光/音/匂い/味 など)
・歯科医師だけでなく、歯科衛生士も一人の担当者を固定した方がいいか(⇒YESと答えました)
・その他困りごと
私から相談したこと
理想通りに歯の手入れができない
⇒「健常者でもちゃんとできている人はそんなにいない。指導を厳格に受け取りすぎなくていい」と言われ、驚きました。
私にトラウマを植えつけた、子供時代の主治医とは大違いです。
実際、その後の歯磨きチェックで明らかに磨き残しがあったのに「まぁまぁできてる」と激甘判定をいただきました。
理解ある対応に感謝し、自力で歯磨きを頑張ろうと決意しました。
処置中の呼吸に不安がある
⇒必要に応じて鎮静法などを用いることが可能な旨 説明を受けました。
不安を治療開始前に伝えられたことが、安心につながりました。
今後 本格的に治療がはじまったら、耳栓の使用や切削器具を見せてもらうことなど、快適に治療を受けるためのあらゆる工夫を試してみようと思います。
当事者の方へ:受診のポイント
障害のことは予約時に伝えておこう
事前につたえておいた方が当日の受付がスムーズになるでしょう
当日はおくすり手帳を持っていこう
飲んでいる薬に応じた対応をしてもらえるでしょう
安全のためにもぜひ持参しましょう
正確な診断名を確認しておこう
私はうまく回答できなかったのが反省点です
困っていることをまとめておこう
いざ聞かれるとなかなか出てこないものです
メモを持っていってもいいと思います
苦手な刺激をまとめておこう
痛み/温度/光/音/匂い/味 など
優先順位や許容範囲も考えておくといいかも
受診中はハンカチを握りしめよう
こころのよりどころになり、落ち着きを保つことができるでしょう
なんでも伝えよう、そして委ねよう
「信頼関係がいちばん大切」とT歯科医師も言っていました
おわりに
今回、恥ずかしさを投げうって率直に助けを求めたことで、歯科と新しい協力関係をきづくことができるという希望がもてました。
それはきっと、自分自身を大切にすることにつながるでしょう。
また、疑問や不安を少なくすると、緊張で固まっていた身体がほぐれるのを感じました。
そのことで歯科医師にとっても処置がしやくすなっていれば、 願ったり叶ったりです。
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さいごまでおつきあいいただき、なもなはとってもとってもうれしいです!
記事をよんだ今、あなたはどんな気分ですか?
もっと吸収したいあなたは、こちらの記事をあわせてお読みください。
ハンカチを握るアイデアはこちらの本を参考にしました。
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それとも あなたも語りたくなった?どうぞいってらっしゃい。
またお会いしましょうね▼▼▼